いにしえのバイクたち【ホンダ ドリームD型】

2019年4月6日

ホンダを語る上で欠かせないドリーム D型

ホンダ ドリームD型はあまり語られることのない一台。なぜでしょうか? 以前ご紹介したいにしえのバイクたち【ホンダ A型】から、B型、そしてC型という販売順になっています。このホンダ ドリームD型の前モデルである、ホンダC型は、注文が入るとエンジンはホンダ、フレームは下請け会社(フレーム専門の会社)からそれぞれ送られ、販売店で組み立てる、という形式でした。

ホンダ C型

しかしどういうわけか、下請け会社が納品を遅らせるという、ホンダへの嫌がらせをしたわけです。また、下請け会社も他社からエンジンを仕入れるなど、ホンダ離れしていきました。おそらく取引会社からの圧力に応じたのでしょう。フレームの納入を遅らせても、フレーム会社の得はありませんからね・・・。

嫌がらせが原動力となる

そこでホンダ(本田宗一郎)さんは、自社でフレームを作っちゃおう! ということになりました。結果としてホンダ伝説へ近づくことになったわけです。このエンジンには、日本初のアルミダイキャストのクランクケースとシリンダーが採用されたことも知っておきましょう。

ホンダ ドリームD型

お金がなかったホンダさん


この頃のホンダ(本田宗一郎)さんは、バイク作りはピカイチで、販売も好調でした。しかし! 残念ながら経営能力はなかったようです。そうですね。会社を切り盛りするには、「経済力」と「経営力」が必要ですからね(たぶん・・・)。そのためにホンダは潰れかけていたそうで、それを打破するために「藤沢武夫」さんが入社するきっかけとなりました。

この藤沢武夫さんという方は、ホンダ好きならご存知の方も多いと思いますが、ホンダ技研にとってキーパーソンとなる方です。そんなこんなでこのホンダ ドリームD型は後の伝説へのAメロ部分となります。ちなみにドリーム~という名は、ここから長年続いたのです。

そんなホンダ ドリームD型は1949年に誕生しています。現在はドリームシリーズの販売はありません。たしか最後のドリームは、ドリーム50が2000年頃だったかな? と記憶しています。そんなドリームシリーズは、半世紀に渡りホンダの主要モデルとなっていましたね。

なんで「ドリーム」という名がついたのかって話ですが、このD型が完成したときに「夢のようだ!」と発した言葉がきっかけだったそうです。

ホンダ ドリームD型のスペックデータ

車名:ホンダドリーム
型式:D
乗車定員(人):2
エンジン型式:-
エンジン種類:空冷2サイクル単気筒
総排気量(cc):98
内径×行程(mm):50×50
圧縮比:5.2
燃料供給装置:アマルキャブレター
最高出力:3PS/5,000rpm
最大トルク:-
全長(mm):2070
全幅(mm):740
全高(mm):970
ホイールベース(mm):1280
最低地上高(mm):170
車両重量(kg):80
最小回転半径(m):-
燃料タンク容量(L):7
始動方法:キック
変速機:左手動前進2段
クラッチ:左手動
ブレーキ(前):ドラム
ブレーキ(後):ドラム
タイヤサイズ(前):20×3.00
タイヤサイズ(後):20×3.00
販売価格:68,500円

ホンダ ドリームD型のスペックデータからわかること

正直この頃は、お金持ちメーカーじゃない限り、多くのメーカーは2ストエンジンを主としていました。構造がシンプルで低価格で製造できるからでしょう。ホンダといえばカブ、カブといえば4ストのイメージがありますが、はじめのころのホンダは、2ストエンジンが中心でした。ちなみにこのあとのホンダ  ドリームE型がけっこう革命的なモデルだったので、のちのち取り上げたいと思います。