いにしえのバイクたち【シルバーピジョン C21】

2019年3月3日

1951年3月:シルバーピジョン C21

ネット上にシルバーピジョン C21の詳細が全く出ていなかったのでここで紹介します。

シルバーピジョンという名は、ヴィンテージバイク好きならなんとなく知っている方も多いでしょう。
まずその外観をご覧ください。

車体の後半がとても四角いですね。今のヤマハボックスのようなスタイルの元祖かも。

ヤマハ ボックス

当時のバイク作りは、戦時中に戦闘機を作っていたエンジニアが、終戦後にバイク作りに以降した流れがあります。
日本の戦闘機といえば「零戦」が有名ですね。軽量化を施した高性能な戦闘機です。
そんな世界一のエンジニアが作ったバイクがシルバーピジョン C10(C21の先代モデル)1946年製
そのシルバーピジョン C10を見た別のエンジニアが「日本のエンジニアはこんなバイクしか作れないのか」
と涙したという逸話があります。

その理由は「物が無い」ことが原因でした。なにせ戦後のことなので。

そんな悲しい話のある先代よりC11、C25と経てC21にスポットを当てます。
このC21は、Wikipediaにも載ってないほどマイナーなバイクです(泣)

シルバーピジョン C21はサルスベリー社をもとにした

サルスベリー??? という感じ、すごく伝わってきます。サルスベリー(Salsbury)はアメリカのバイクメーカーです。

この当時の日本の自動車、バイク作りは、アメリカまたはドイツを手本にしていた、というかパクっていた流れとなっています。
このシルバーピジョン C21も例のごとくアメリカのサルスベリー社のスクーターをモチーフにしたというわけです。

そのサルスベリーのスクーターは、こんな感じです。

シルバーピジョンよりも画像が多いってどうゆうことやねん! とツッコまれそうですが、そういうことです。
シルバーピジョン C21の写真はありません。幻です。

上記の3車種はよく見ると形状が違うのでモデル違いでしょう。しかし、サイドカバーのD型の吸気口はフューチャーしていますね!
これは強制空冷のためのものでしょうか?

サルスベリーのフロントフェンダーは一体式でなんともスペーシーなデザインですが、シルバーピジョン C21はオリジナリティ溢れる形状ですね。

製造は中日本重工業

ところでここまでシルバーピジョン C21の製造メーカーの話題に触れませんでしたが、製造元は中日本重工業株式会社 名古屋製作所です。
これはなにかというと、現在の三菱重工業となっています。

そう、三菱がシルバーピジョンを製造していました。

シルバーピジョン C21のスペック

車名:シルバーピジョン
乗車定員(人):2
エンジン型式:NE-2(20)
エンジン種類:強制空冷4サイクル単気筒SV
総排気量(cc):148
内径×行程(mm):57×58
圧縮比:5.0
燃料供給装置:ミクニアマル H19B
最高出力:3PS/3,800rpm
最大トルク:2.5kg・m/3,000
全長(mm):1850
全幅(mm):660
全高(mm):950
ホイールベース(mm):1360
最低地上高(mm):120
車両重量(kg):129
最小回転半径(m):1.36
燃料タンク容量(L):5
始動方法:キック
変速機:自動変速Vベルト式
クラッチ:自動遠心式
ブレーキ(前):ドラム
ブレーキ(後):ドラム
タイヤサイズ(前):4.00-8
タイヤサイズ(後):4.00-8
販売価格:115,000円

スペック表からわかること

あまりにも資料がなく、最高スピードが何キロだったとかの記録がありません。
なのでスペック表でも見てゆっくり想像してみましょう。

とりあえずわかることは150ccで3PSしか出力していないこと。しかも3,800rpmってなかなかの低速設定。
そして圧縮が5.0しかないことも気になりますね。

ナンセンスかもしれませんが、現在の150ccであるホンダ PCX150と比べてみます。
出力は14PS/8,500rpm、圧縮は10.6です。雲泥の差がありますね。シルバーピジョン C21は車両重量が129kgとPCX150とトントンです。

んまぁ、3PSは3PSですから、カブ並の加速ってことでしょうか?
ぜひ肉眼でその走りを拝んでみたいものですね!
できれば乗ってみたいゼ・・・