いにしえのバイクたち【キャブトン RTS】

2019年10月10日

キャブトンマフラーの元祖!

SR400やW650、エストレアカスタムなど、レトロ調のバイクではお馴染みの「キャブトンマフラー」。「キャプトンマフラー」と表記しようもんなら打ちのめされてしまう可能性のある間違いとなっています。「ブ」と「プ」を間違えるだけで明日が来ないんじゃないかってくらい世間から冷たくあしらわれてしまうのです。今回はキャブトン RTSというバイクに焦点を絞りますが、キャブトンマフラーの由来について、ちょっと説明します。

キャブトンマフラーの由来

大阪府にある中川幸四郎商店は、イギリスのアリエルを輸入販売し、関西総販売元でした。しかし、1929年の世界恐慌によって製品が日本へ入ってこなくなってしったのです。これはいかん! 商売あがったりやでほんま!というこうことで、手元にあったアリエル型日本製の車両に、これまた手元にあったインディアンの350ccサイドバルブエンジンを合体させました。これがきっかけとなり1933年に見事第一号車が完成したそうです。そう、キャブトンはマフラーの形状ではなく、メーカー名なのです。中川幸四郎商店はのちにキャブトン自動車販売としてバイクを売るようになりました。このキャブトンはどれほどのバイクメーカーだったのかというと、ご存知の方も多いと思いますが、「メグロ」「陸王」と並ぶ有名ブランドです。そんなキャブトンは「Come And Buy To Osaka Nakagawa」の頭文字をとってCABTON。日本語訳すると、大阪の中川幸四郎商店まで買いに来てや! 頼むで! となります笑

中川幸四郎商店の経営者は内藤正一氏

ちなみに当時の経営者は内藤正一氏。中川さんではありません。中川幸四郎氏についてちょっと調べてみましたが不明です。この内藤正一氏の素晴らしいところは、より良い品質のバイクを作るために、本人は借家住まいで、収入のほとんどを最新の工作機器の購入につぎ込んだとか。

キャブトンはのちに倒産

そんなキャブトンは、年に数回値下げ販売するようになりました。それはいいのですが、パーツの質も落としてしまい、故障が頻発。それが原因で信頼を一気に失う結果に。その信頼を取り戻そうと、さまざまな車両ラインナップを用意しましたが、1955年に倒産。実はキャブトンは、有限会社みずほ自動車販売も販売しており、キャブトン倒産後は有限会社みずほ自動車販売が、キャブトンファンのために製造を続けていましたが、1958年に生産をすべて終了しました。

キャブトン RTSのスペック

車名:キャブトン
乗車定員(人):2
エンジン型式:TS
エンジン種類:空冷4サイクル直立2気筒OHV
総排気量(cc):594
内径×行程(mm):71×75
圧縮比:6.4
燃料供給装置:アマル 276 キャブレター
最高出力:19ps/5,000rpm
最大トルク:5.0kgf・m/3,500
全長(mm):2185
全幅(mm):770
全高(mm):1040
ホイールベース(mm):1440
最低地上高(mm):132
車両重量(kg):202
最小回転半径(m):2.2
燃料タンク容量(L):15
始動方法:キック
変速機:右足動前進4速
クラッチ:左手動
ブレーキ(前):ドラム 172
ブレーキ(後):ドラム 178
タイヤサイズ(前):3.50-19
タイヤサイズ(後):3.50-19
販売価格:215,000円

魅惑のサイドバルブエンジン

そう、このキャブトン RTSの特徴はなんといってもサイドバルブエンジンです。ハッキリ言って燃焼効率はよくありません。しかし! それゆえにゆっくり吹け上がるのがまた良いのです。レトロなバイクが好きな方ならきっとおわかりいただけるかと思います。どちらにしてもこのキャブトン RTSは非常にひっじょーにレアなバイクです。旧車系のイベントでもなかなか拝めません。実際にYouTubeなどでも動画がほぼありません。これはどこかになれば良いのですが・・・。見てみたいです。いや、めちゃカッコイイですよね!? わたくしは好みですよ!